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動物取扱業の帳簿と記録台帳の違い|ペットホテル・トリミングサロン・ペットシッターに必要な記録とは?

文:Damien·

「動物取扱業者は帳簿を5年間保存しなければならない」。この一文だけを読むと、ペットホテルやトリミングサロンにも同じ帳簿が必要だと思う方もいるでしょう。

実は、動物愛護管理法が定める「帳簿」と、環境省令が定める「記録台帳」は別のものです。必要な帳簿や記録台帳は、登録している業種によって異なります。この記事では、条文と環境省・自治体の資料をもとに、その違いを整理します。

帳簿と記録台帳、どちらが必要か

まずは、業種ごとに必要な帳簿と記録台帳を確認しましょう。千葉県が公開している業種別の一覧と、川崎市の記録台帳に関する案内をもとに、次の表にまとめました。表の「帳簿」は法21条の5に定める帳簿、「記録台帳」は基準省令に定める記録台帳を指します。

業種帳簿定期報告記録台帳
販売必要必要必要
貸出し必要必要必要
展示必要必要必要
譲受飼養必要必要必要
保管(ペットホテル、動物を預かるトリミングサロン、ペットシッター)不要不要必要
訓練不要不要必要

ひとつの事業者が複数の業種で登録している場合は、それぞれの業種に応じた義務を果たす必要があります。たとえば、しつけ教室を営みながら子犬も販売している場合は、販売業として帳簿の作成・保存と定期報告が必要です。

保管業に該当するサービス

環境省は、保管業の例として「ペットホテル業者、美容業者(動物を預かる場合)、ペットのシッター」を挙げています。さらに、「代理販売やペットシッター、出張訓練などのように、動物の所有や飼養施設がない場合も」登録が必要だと明記しています。

トリミングサロンについて、さいたま市は「シャンプーやトリミングなどのために犬を預かる行為も保管にあたります」と案内しています。数時間の預かりであっても、動物を預かる場合は保管業に該当します。

一方、飼い主が常に立ち会う出張トリミングのように、動物を預からずにサービスを提供する場合の扱いは、法律にも環境省の資料にも明記されていません。自治体によって判断が分かれる可能性があるため、管轄の保健所や動物愛護センターに確認し、可能であれば書面で回答をもらっておくと安心です。

法21条の5の帳簿:対象業種と記載事項

対象となる業種

法21条の5第1項は、販売・貸出し・展示・譲受飼養を行う「動物販売業者等」に、帳簿を備えることを義務づけています。対象となる動物は、哺乳類・鳥類・爬虫類です。

2013年9月1日から2020年5月31日までは、帳簿の作成・保存と定期報告が義務づけられていたのは、犬猫等販売業者のみでした。2019年の法改正により、2020年6月1日から対象が現在の4業種に拡大されました。

記載事項

帳簿の記載事項は、施行規則第10条の2で定められています。犬と猫は1頭ごとに、それ以外の動物は品種ごとに記載します。

  1. 品種等の名称
  2. 繁殖者の氏名または名称と、登録番号または所在地(輸入した動物で繁殖者が不明な場合は輸出者)
  3. 生年月日(不明な場合は推定の生年月日と輸入日)
  4. 所有し、または占有するに至った日
  5. 仕入先の氏名または名称と、登録番号または所在地
  6. 販売または引渡しをした日
  7. 販売先または引渡し先の氏名または名称と、登録番号または所在地
  8. 販売先が関係法令に違反していないことの確認状況
  9. 販売を担当した者の氏名(販売業者)
  10. 対面説明と、その内容を理解した旨の確認の実施状況(販売業者)
  11. 貸出しの目的と期間(貸出業者)
  12. 死亡した日(飼養中に死亡した場合)
  13. 死亡の原因

展示業と譲受飼養業では、販売・貸出しに関する事項など、その業態に該当しない項目は記載しません。

👉 マイクロチップ番号は、法令で定められた記載事項には含まれていません。ただし、京都府の参考様式のように、「管理番号又はマイクロチップ番号等」の欄を設けた様式もあります。犬や猫を個体ごとに識別できるよう、記録しておくと役立ちます。

保管業・訓練業にも必要な記録台帳

法21条の5の帳簿が不要な業種にも、記録を残す義務があります。その根拠となるのが、環境省令「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(基準省令)です。この省令は2021年6月1日に施行され、それまで告示で定められていた基準が省令で定められるようになりました。

川崎市と相模原市の案内をもとに、主な記録台帳を以下にまとめました。いずれも5年間の保存が必要です。

記録台帳対象
取引状況記録台帳(動物の仕入れ、販売等の取引状況)すべての業種。帳簿を備える業種は、その帳簿で代えることが可能
飼養施設の清掃・消毒・保守点検の記録飼養施設がある場合
1日1回以上の巡回時に確認する動物の数と状態の記録飼養施設がある場合
繁殖の実施状況の記録販売・貸出し・展示で繁殖を行う場合
1年以上飼養する犬猫について、年1回以上受ける獣医師の健康診断の記録該当する犬猫がいる場合

相模原市は、取引状況記録台帳を「すべての動物取扱業者」が備えるものとしています。また、川崎市は、保管業・訓練業向けの様式を別に用意しています。

ペットホテルでは、取引状況記録台帳に加え、施設の清掃や1日1回以上の巡回の記録が必要です。飼養施設を持たないペットシッターや出張訓練の事業者では、取引状況記録台帳が主な記録となります。

💡 取引状況記録台帳の様式は自由です。保管業・訓練業では、動物の受入日と返還日、飼い主の情報、動物の情報、依頼内容を1行にまとめておくと、立入検査の際にも説明しやすくなります。

保存期間と保存方法:5年間、紙・電子データのどちらでも可

環境省は、帳簿について次のように案内しています。

「第一種動物取扱業者のうち、動物の販売、貸出し、展示、譲受飼養を行う場合は…帳簿に記載し、5年間保存しなければなりません。※パソコンなど電磁的方法による記録も認められています。」

様式に決まりはなく、紙の台帳でも、表計算ソフトや業務用ソフトで作成した電子データでもかまいません。東京都は、求めに応じて提示できる状態であれば、電子データでの保存も認めています。

保存期間の起算点については、自治体の案内によって表現が異なります。判断に迷う場合は、その動物について最後に記載した日から5年間保存しておけば確実です。

電子データで管理する場合は、立入検査の際にすぐに画面に表示するか、印刷して提示できる状態にしておくことが前提です。また、データの消失に備え、バックアップを取っておく必要があります。

定期報告:毎年5月30日まで

帳簿を備える4業種は、法21条の5第2項にもとづき、毎年度の動物の取扱状況を登録先の自治体に報告します。使用するのは、施行規則の様式第11の2「動物販売業者等定期報告届出書」です。

  • 対象期間:4月1日から翌年3月31日まで。登録した年度は、登録日からその年度の3月31日まで
  • 提出期限:対象期間の末日から60日以内、つまり5月30日まで
  • 報告内容:4月1日時点の所有数、各月に新たに所有した数、各月の販売・引渡し数および死亡数、3月31日時点の所有数、取り扱った品種。犬、猫、その他の哺乳類、鳥類、爬虫類に分けて記載します

動物の取扱いがなかった年度も、報告は必要です。大阪府は「取扱頭数がゼロであった年度も報告が必要です」と明記しています。

⚠️ 環境省の資料では期限を5月30日としていますが、大阪市のように受付期間を5月31日までと案内している自治体もあります。提出方法(電子申請、メール、郵送)も自治体によって異なるため、管轄の自治体の案内を確認してください。

保管業と訓練業には、定期報告の義務はありません。

違反した場合の罰則など

違反の内容根拠罰則など
帳簿を備えない、記載しない、虚偽の記載をする、保存しない法49条20万円以下の過料
定期報告をしない、虚偽の報告をする法49条20万円以下の過料
報告の求めに応じない、立入検査を拒む・妨げる法47条30万円以下の罰金
記録台帳などに関する基準省令の基準を守らない法23条勧告、公表、命令。命令に違反すると100万円以下の罰金(法46条)
法律や命令への違反法19条登録の取消し、または6か月以内の業務停止

過料は刑事罰ではなく、行政上の秩序罰です。ただし、登録を取り消されると、その後5年間は登録を受けられません。記録の不備が業務停止や登録の取消しにつながる可能性もあることは、押さえておきましょう。

自治体ごとの違い

帳簿と記録台帳の基本的な仕組みは全国共通ですが、様式や手続きは自治体によって異なります。

  • 東京都:帳簿の参考様式(Excel)と記入例を公開し、定期報告はオンラインの申請フォームで受け付けています。
  • 川崎市:帳簿(犬猫用、その他の動物用、貸出し用)と、保管業・訓練業向けの取引状況記録台帳の様式を別々に用意しています。
  • 千葉県:業種ごとに帳簿の要否を一覧にまとめています。
  • 北海道:条例により、フェレットなどの「特定移入動物」を販売する場合は、別途記録を残すことを求めています。

法21条2項により、都道府県や政令市は条例で独自の基準を定めることができます。登録先の自治体のウェブサイトも確認しておきましょう。

予約情報を台帳の作成に活用する

izyPetでは、予約に関する次の情報を確認できます。

  • 預かり開始日・終了日と、それぞれの時刻
  • 予約されたサービス
  • 予約に紐づく飼い主の氏名、住所、電話番号(顧客情報に登録されている場合)
  • 予約に紐づく動物の種類、品種、性別、生年月日、識別番号(マイクロチップ番号などが登録されている場合)
  • 予約情報をもとに契約書や請求書を作成している場合は、その書類と契約書の署名状況

表示される飼い主と動物の情報は、予約時点の情報を保存したものではなく、現在登録されている内容です。登録内容を変更すると、過去の予約画面にも変更後の情報が表示されます。また、予約や顧客を削除すると、その記録も確認できなくなります。

取引状況記録台帳に記載する情報を予約情報から確認できるため、台帳を作成する際の転記に役立ちます。ただし、作成した台帳そのものは、事業者が5年間保存する必要があります。また、izyPetには、自治体の様式に沿った台帳を作成する機能や、定期報告を提出する機能はありません。記録台帳の内容が基準を満たしているかどうかは、事業者自身で確認する必要があります。

➜ 詳しくは: ペットホテル向けの予約管理ソフト

まとめ

  1. 法21条の5の帳簿と定期報告が必要なのは、販売・貸出し・展示・譲受飼養の4業種です。
  2. ペットホテル、動物を預かるトリミングサロン、ペットシッター(保管業)、しつけ・訓練を行う事業者(訓練業)には、法21条の5の帳簿は不要ですが、取引状況記録台帳などの記録台帳は必要です。
  3. 帳簿の記載事項は施行規則第10条の2で定められており、犬と猫は1頭ごとに記載します。
  4. 帳簿も記録台帳も5年間保存します。紙でも電子データでもかまいません。
  5. 定期報告の期限は5月30日です。動物の取扱いがなかった年度も提出が必要です。
  6. 帳簿の不備や定期報告の未提出は20万円以下の過料の対象となり、悪質な場合は登録の取消しにつながります。

よくある質問

トリミングサロンを営んでいます。帳簿は必要ですか?

法21条の5の帳簿は必要ありません。動物を預かるトリミングは保管業に該当し、この帳簿の対象となるのは販売・貸出し・展示・譲受飼養の4業種だからです。ただし、基準省令にもとづく取引状況記録台帳は必要です。また、サロンの施設がある場合は、清掃や巡回の記録も必要で、いずれも5年間保存します。

飼い主が立ち会う出張トリミングでも、動物取扱業の登録は必要ですか?

法律にも環境省の資料にも、この場合の扱いは明記されておらず、自治体によって判断が分かれる可能性があります。管轄の保健所や動物愛護センターに問い合わせ、書面で回答をもらっておくことをおすすめします。

施設を持たないペットシッターにも記録は必要ですか?

必要です。環境省は、飼養施設がないペットシッターも、保管業としての登録が必要だとしています。飼養施設がなければ清掃や巡回の記録は対象外ですが、取引状況記録台帳は備える必要があります。

Excelや予約管理ソフトで記録を管理してもよいですか?

必要な条件を満たしていれば、Excelや予約管理ソフトで管理することも可能です。環境省は、パソコンなど電磁的方法による記録を認めています。必要事項がすべて記録されており、立入検査の際にすぐに表示・印刷できる状態にしておくこと、バックアップを取っておくことが前提です。

1年間、動物の取扱いがありませんでした。定期報告は必要ですか?

法21条の5の帳簿が必要な4業種であれば、報告が必要です。大阪府は、取扱頭数がゼロの年度も報告が必要だと明記しています。各月の頭数をゼロとして、5月30日までに提出してください。

年度の途中で登録しました。最初の定期報告の対象期間はいつからいつまでですか?

登録日から、その年度の3月31日までです。翌年度の5月30日までに提出します。

⚠️ この記事は、個別の法律相談に応じるものではありません。 2026年10月16日時点で確認できた法令と公的資料をもとに、一般的な内容をまとめたものです。条文の項・号の番号は自治体の資料にもとづいて記載しているため、正確な条項はe-Govの法令本文でご確認ください。個別の事情については、登録先の都道府県や市の担当窓口(保健所、動物愛護センターなど)にご相談ください。

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